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2005年07月31日

住吉花火

小さな星がいくつも散らばって
夜空からふりそそいできた。
何度も行き交う渡船が
光の雨の中をくぐって走る。

提灯のついた船からは
勇ましい太鼓の音が聞こえる。
色とりどりの花火が
尾道水道に見事に咲き誇る。
なんと情緒のあふれる風景だろう。
吸い込まれるように、
わたしたちは夜空に釘付けになった。

何十年前も、
何十年後も、
この夏の日は変わりなく、
胸に刻まれていくんだろう。

思い出とともに咲き続ける、
これが尾道の花火なのだと思った。


…おまけ 花火前のクルージング中にて
↓相棒のゆうちゃん
PICT9774.jpg

PICT9780.jpg

投稿者 NORi : 14:22 | コメント (1)

2005年07月29日

クレーンライトアップ

週末の夜になると
海岸通りに現れる
ひかる折り紙。

今は「戦艦大和」の
ロケセットのあいだに挟まれている。
真昼に下から見上げると
あまりの大きさに首が痛くなった。

ひかる折り紙は、
水面にそれぞれの色を揺らしながら
ちりちりとひろがる。

はじめて千光寺の展望台に
登った夏の日も、
折り紙はひかっていた。
遠くの空で雷が鳴き、
ぼってりとした夕日が背中に沈んだ後
尾道水道に
光の帯を走らせていた。

目の前に拡がる大自然のパノラマは
本当に美しくて、
わたしはこの光景を
忘れられないだろうと思った。

投稿者 NORi : 17:09 | コメント (1)

2005年07月28日

続く坂道

猫の額のような道を
何度も猫とすれ違いながら登る。
天空の城のような暮らしが
つらつらと続いている。

主の消えた荒廃した家に、
うわんと浸食する植物。
時の空白を埋めるような蔦が、
びっしりと這っている。

そこかしこが野良猫の住処となり、
突然の来訪者をじっと見つめる。
じりじりと照らす陽が痛い。
すぐ傍ににじり寄る真夏の太陽。

コンクリートの隙間から伸びる雑草。
全て土に還れたらいいのにと思う。
崩れ落ちる瓦屋根から
白い花がのぞく。

天空の暮らしはどうなのだろうと
想いを巡らせてみる。
見下ろす地上が、
どこか浮世離れして写る。

地上に降りたてば突然に
日常が目の前に現れる。
肉屋は肉を売り、
魚屋は魚を売っている。
踏切の音が聞こえる。
どこまでもわたしを連れていける電車が走る。

投稿者 NORi : 13:41 | コメント (1)

2005年07月26日

夏祭り

待ちに待ったお祭りがやってきた。
商店街が活気良いにぎやかな場所へと
姿を変えている。

小さな子供たちが楽しそうにはしゃいでいる。
光のともったアーケードを
馴染みの顔が行き交っている。

光がともるだけで、胸がおどるのはなぜなんだろう。
ぽつぽつまるい黄色い光が
アーチに連なってわたしを導く。

投稿者 NORi : 15:38 | コメント (1)

2005年07月25日

Profile::

nori.jpg
中元 紀子
Nakamoto noriko


広島県福山市生まれ。尾道市在住(2005〜2009)。 写真家。 「ふるさと」「日常的楽園」をテーマに全国でアート活動を行う。 展覧会、ワークショップ、イベントなど各地で開催。

2005年『ミス尾道』に選ばれました。

はじめましてこんにちわ。のりです。
写真を通じて世の中に触れ、人と出会い、日々何かを表現しながら暮らしています。
ミス尾道と同時に始まった“尾道生活”は、私が最初思い描いていた以上に、穏やかで優しい時間が流れています。

そんな豊かな生活の中で感じたことを、じわりじわりとここで伝えていけたらいいなと思っています。
そして穏やかで優しい世界が、もっともっと拡がってゆきますように。

ちなみにホームページもあります。こちら→http://www.honey-go.com/

これまでの仕事
●朝日新聞「NORiの日常的楽園」
●RCCラジオ「びんご百景エコショット」
●中国新聞文化センター写真教室・講師など

投稿者 NORi : 21:17

2005年07月23日

Prologue::

プロローグ写真尾道に暮らしたいなと思い始めたのは、去年の春だった。当時住んでいた福山の家、今現在も父母と祖母が暮らしているが、その住まいから尾道までの距離は約30キロ程度である。福山のバイパスから、尾道市街に向かう長江通りへ降りると、目の前に急に古い街並みが飛び込んでくる。昔から変わらないであろうその景色を、暮らしたこともないのに懐かしく感じていた。たった30キロしか離れていない隣町は、わたしにとって興味深い異空間で、不思議な引力を持っていた。その頃、尾道市内で写真展を開催していたこともあり、時間があればカメラを持ってあちこちを歩いた。最初は、カメラを構えてもどれを撮ろうか迷うくらい色々なものが迫ってきて、あまりの濃厚さに気分が悪くなることもしばしばだった。けれど次第に、少しずつ身体に染みこんでくるような感覚になって、もっと近づきたい想いが日ごとに増していった。

プロローグ写真そうしているうちに、尾道には「空家バンク」という制度があることを知った。尾道市役所の観光文化課を訪ねて、登録してある空家を教えてもらった。千光寺山南斜面(通称・山手)には数十件の空家があって、移住してきた人が何人もいた。山手に住む人に話を聞くと、空家バンクに登録されていない家の方がはるかに多いということだった。そしてそこに住む人の多くが、観光課や不動産の仲介ではなく、独自ルートで見つけた物件だった。つまり、家を見つけるには地元住民との繋がりが不可欠だということである。
 そこでわたしは、町内会長を紹介してもらったり、尾道住民に出会う毎に、空家を聞いてまわった。空家のある地域にわざわざ案内してくれたり、他の人にも聞いてくれる人もいた。家探しの時点で既に、尾道の人は驚くくらい親切だった。

家探しをひたすらアピールし続けて半年が経つ頃、ついに家が見つかった。春先に引っ越す人がいるので、その後に入居してみてはどうかと友人が紹介してくれたのだ。山手の古民家ではなく、千光寺ロープウエイ乗り場・山麓駅近くの一軒家だ。(後に3ヶ月かけて駐車場も見つけることが出来た。)こうして今年の3月から、わたしの尾道暮らしが始まることになったのである。

プロローグ写真春からの尾道移住が決まり、何か尾道に関わることが出来たらいいなと思っていた頃、2005ミス尾道の募集を知った。尾道をもっと良く知る良いチャンスだと意気込んで応募し、現在に至る。
 フォトグラファーとしてわたしを知る中で「何故ミス尾道?」と首を傾げる人もいるし、実際わたしも28歳にしてオープンカーでパレードなんて申し訳ない感じもしたけれど、尾道観光協会の方から今回の企画を受けて、わたしのふたつの役割が繋がったような気がして嬉しかった。
 伝えていくことがわたしの仕事なら、思う存分やり遂げたい。どんな場所にいても、その想いを伝えて心を動かすこと。それがわたしらしくて、自然で、一番気持ちよい生き方なのだ。尾道はそういう自然が許される街だと思う。だからわたしは辿り着いてしまった。引き寄せられてしまった。
 わたしの夢のひとつに、尾道の写真を海外で発表する、というのがある。尾道の写真が、違う国でどんな言葉を話すのかを見たいと思うし、美しい尾道情景を(美の観点はそれぞれだけど)残せていけたらいいと思う。

 尾道に来て一番最初に読んだ本が、林芙美子さんの「放浪記」だった。時代背景も環境もまるで違うけれど、何故かしら親近感の湧く作品だと思う。放浪というか、わたしの言葉に置き換えるなら「空中散歩」である。2本の足でぶらぶら歩きながら、様々な想いが駆けめぐる。尾道の街に漂う古くからの歴史を、掴むように刻んでいく。まさに宙を掴むような話である。移動距離は少ないにしろ、写真で放浪してることに変わりない。尾道を歩いていると必ず猫に会う。わたしも猫のようなものだな、と思う。

写真放浪記を読む

投稿者 NORi : 21:04